2024年に入り、楽天グループとみずほフィナンシャルグループ(FG)が、楽天カードへの出資を巡る動きが注目されています。このニュースは、楽天の財務状況の改善や、みずほが楽天グループの金融事業に深く関与することを示唆するものです。
この記事では、みずほFGの楽天カードへの出資がどのように行われるのか、またその背景にある楽天の財務状況や、今後の金融業界への影響について詳しく解説します。
出資の概要
みずほFGが楽天カードに出資する件では、楽天グループが依然として楽天カードの過半数を保持しつつ、みずほが一定の割合の株式を取得する形で進められています。具体的には、出資比率が最大で「みずほ49%、楽天51%」という形になると見られています。これは、楽天証券でのケースと類似したスキームです。
楽天グループは、楽天銀行や楽天証券など、グループの金融会社の一部株式を市場に放出する方針を進めており、今回の楽天カードも同様に一部売却することで資金調達を行う狙いがあると考えられます。
楽天グループの財務状況
楽天グループは近年、楽天モバイルの巨額な投資と、それに伴う財務問題に直面しています。楽天モバイル事業の負債が2兆円近くに上るともされており、これが楽天グループ全体の経営を圧迫している状況です。
楽天は2024年度および2025年度においても巨額な社債の返済が迫られており、資金調達は急務です。直近では、オーストラリアの企業に楽天モバイルの基地局を売却し、23億円を調達するなど、様々な手段で資金繰りを行っています。しかし、これらの社債には10%以上の高金利が付いており、利払い負担も重くのしかかっています。
また、楽天モバイル事業の成長が見込めない状況が続いています。プラチナバンドの割り当てがあったものの、基地局の整備が進まず、都市部での接続環境は依然として不安定です。KDDIとのローミング契約の更新も不透明で、モバイル事業が楽天の成長の足かせになっているのが現状です。
なぜ楽天カードを売却するのか
楽天グループの財務状況を改善するための一環として、楽天カードの一部株式売却が選択されたと考えられます。楽天カードは、楽天グループ内でも収益性の高い事業であり、いわば「虎の子」です。この一部売却は、楽天グループが非常に厳しい財務状況に追い込まれていることを示しています。
楽天カードは、楽天市場とのポイント連携が強みであり、楽天ユーザーにとって非常に魅力的なサービスです。しかし、みずほが出資することで、今後は外部資本が入るため、ガバナンスの観点からも影響が出る可能性があります。例えば、楽天市場のプロモーションのために、楽天カードのポイントを安く提供するような優遇措置が難しくなるかもしれません。
みずほにとってのメリット
みずほFGにとっては、今回の出資は楽天グループの金融事業に深く関与できる絶好の機会です。特に、楽天はすでにみずほから多額の融資を受けており、出資を通じて融資の安全性を高める狙いがあると考えられます。また、楽天の金融事業が成長することで、みずほとしても収益を上げるチャンスが広がるでしょう。
さらに、楽天カードは日本国内で非常に人気が高く、カード会員数も増加傾向にあります。みずほがこの分野に進出することで、キャッシュレス化の波に乗り、さらなる顧客基盤の拡大を図ることができます。
楽天とみずほの今後の展開
楽天とみずほの提携は、今後も続いていく可能性があります。楽天の財務状況が悪化すればするほど、みずほが楽天の金融事業をさらに手中に収める展開も考えられます。楽天のモバイル事業が思うように成長しない一方で、金融事業は依然として高い価値を持っているため、みずほにとっては金融事業の強化が狙い目です。
一方で、楽天としては、みずほとの提携を通じて財務の立て直しを図り、モバイル事業やEC事業の成長を継続させたいところです。今後も楽天グループがみずほを含む外部資本とどう協力していくかが注目されます。
まとめ
みずほフィナンシャルグループが楽天カードに出資する件は、楽天グループの財務改善を目的とした重要な一手です。一方で、みずほにとっても楽天の金融事業に参入する絶好の機会であり、双方にメリットがある取引です。
今後、楽天とみずほの提携がどのように発展していくのか、楽天のモバイル事業の行方、そして日本の金融業界全体にどのような影響を与えるのか、引き続き注視していく必要があります。