かつての私は、好きなものには惜しみなくお金をかけるタイプでした。特に好きなジャンルに出会うと、一気にのめり込み、ハイブランドや高価なアイテムを集めたくなってしまう癖がありました。けれど一方で、それ以外の物には驚くほど無頓着で、洋服も最低限の枚数、安価なものばかりを身につけていました。
私の消費スタイルは、極端に偏ったものでした。熱しやすく冷めやすい性格も手伝って、ある時はファッションに夢中になり、別の時期には一切の関心を失って無地のTシャツとジーンズだけで過ごす、そんな繰り返し。お金の使い方も、かなり非効率だったと思います。
しかし、あるときを境に私は「ミニマリスト」という考え方に出会いました。そして、それを目指すようになった今、物を買うときの判断基準が明確に変わりました。今日は、そんな私が「物を買うときに気をつけていること」について、少し掘り下げてお話ししたいと思います。
機能が同じなら、小さくて安いものを選ぶ
今の私が物を買うときに最も大切にしていることは、「機能が同じなら、小さくて安いものを選ぶ」というルールです。
例えば、3色ボールペンを買うとき。以前の私なら、見た目がスタイリッシュで重厚感のある1,000円のアルミ製のペンを選んでいたでしょう。でも今の私は、同じく3色が使える粗品のプラスチック製ボールペン(つまり0円)を選びます。なぜなら、書けるという機能が同じなら、それ以上の価値に意味を感じなくなったからです。
しかも、私のように「捨てられない性格」の人間にとって、高価な物は心理的なハードルを高くします。
高い物=捨てられない物
私にとって、高い物というのは「壊れるまで使わなければならない」というプレッシャーを感じさせる存在です。これは、金額の分だけ愛着や責任感が増すという、ある意味当然の心理かもしれません。
でも、実際に思い返してみると、人生で「高価なものが壊れて後悔した経験」はほとんどありません。にもかかわらず、高い物はどうしても「もったいない」という気持ちが先行して、壊れるまで手放せず、使わずに大切にしまいこんでしまうことも多かったのです。
それに対して、安い物は「気軽に使えて、気軽に手放せる」。粗品のボールペンであれば、書けなくなったらすぐに処分できるし、無くしても深く気にしない。これは、私のようなミニマリスト志望にとって、非常に大きなメリットです。
「価値が低い=雑に扱っていい」ではない
誤解してほしくないのは、価値が低いものを買うというのは「粗末に扱うことが前提」ではないということです。むしろ私は、どんなに安くても、選んで手元に置いたものには敬意をもって接したいと思っています。
ただ、「心理的に軽い」ことで、結果的に持ち物に縛られなくなるのです。これは、ミニマリズムの大きなポイントでもあります。物に縛られないことで、行動も思考も自由になります。壊れたからといって「また買えばいい」と思える気楽さが、心を軽くしてくれます。
所有物の価値を下げるという目標
ミニマリストとして暮らすうちに、私は「所有している物の金銭的価値を下げる」という発想に自然と行き着きました。
価値が高い物ほど、気を使いながら使う必要があるし、慎重になりすぎて活用できなくなります。それでは意味がありません。物は使ってこそ意味があるもの。持っていることに満足するだけの高価な物より、気軽に使えて手放せる物の方が、私の暮らしには合っていると気づいたのです。
私の定番は「とりあえず100円均一」
そんな私がよく訪れる場所は、100円均一のお店です。100均には、「これで十分」と思えるシンプルで機能的なアイテムが豊富に揃っています。中には、長く使える丈夫なものや、アイデア商品もたくさんあります。
もちろん、品質に当たり外れがあることも事実ですが、それも100円だからこそ「試してみよう」と思えるのです。そして、必要なくなったときに手放す決断もしやすい。私にとって100均は、「軽やかに物と付き合える場所」になっています。
高価な物に「価値を感じない」ではなく「価値を重荷にしない」
ミニマリストだからといって、高価な物の価値を否定しているわけではありません。美しい物、高品質な物には、それ相応の魅力や意味があります。ただ、私自身が物に心を縛られず、自由に暮らすためには、「高価=良い物=捨てられない物」という価値観から距離を取る必要があったのです。
だから私は、「機能が同じなら、安くてコンパクトな物を選ぶ」という選択を続けています。
おわりに:価値は自分で決める
物の価値は、金額やブランドではなく、自分がどう使い、どう感じるかで決まると私は思っています。
捨てられない物に囲まれるより、気軽に使って、気軽に手放せる物と暮らす。その方がずっと心地いいし、自分らしい生活ができると感じています。
これからも私は、自分の中の価値基準を大切にしながら、「身軽で自由な暮らし」を目指していきたいと思います。
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