JB23型ジムニーは、シンプルな構造で整備性が高く、DIYメンテナンスを楽しめる車として今なお高い人気があります。その中でも定期的に行いたい整備のひとつが「クーラント(ラジエター液)の交換」です。
クーラントはエンジンの冷却だけでなく、防錆・凍結防止といった重要な役割を担っています。しかし、エンジンオイルと比べると交換頻度が低いため、つい後回しにされがちです。劣化したクーラントを使い続けると、オーバーヒートやラジエーター内部の腐食といったトラブルの原因にもなります。
この記事では、JB23型ジムニーのクーラント交換について、必要な工具や部品、実際に排出される量、水道水での洗浄方法、失敗しやすいエア抜きのコツまで、実体験をもとに詳しく解説します。
JB23ジムニー サーモスタット交換方法!水温が下がる原因とDIY手順を詳しく解説!

必要な工具・部品
まずは、今回の作業で使用した工具と部品です。
・クーラント(青)4リットル
・クーラント液注入工具(ファンネル)
・大きめのタライ(排出クーラント受け皿用)
今回は以下の商品を使用しました。
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サムコス クーラントファンネル(アダプター3種付き)
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クーラント液注入工具は必須ではありませんが、エア抜きのしやすさと作業効率が段違いです。価格も安く、今後も使えるので購入して損はありません。
JB23型ジムニーのクーラント整備情報
JB23型ジムニーのクーラント容量は以下の通りです。
冷却水総容量:4リットル(リザーバタンク別)
交換時に排出される量:約2.2リットル
| エンジン内部 | 1,800nl |
| ラジエータ | 2,200ml |
| リザーバタンク | 600ml(MAX位置) |
| 合計 | 4,600ml |
なぜ全量が抜けないのかというと、サーモスタットによりエンジン内部にクーラントが残る構造だからです。そのため、単純にドレンを開けただけでは半分程度しか抜けません。
| JB23型式 | 車体番号 | クーラントの種類 |
| 1型〜7型 | JB23W-600001~ | LLC |
| 8型〜10型 | JB23W-650001~ | スーパーLLC |
クーラントの交換目安は、
初回7年または15万kmで
以降4年または7.5万kmとされています。
クーラント交換手順
① ヒーターを暖房側へ最大にする
エアコンパネルの温度調節ツマミを、右に目一杯回して暖房側へ設定します。
これにより、ヒーターコア内のクーラントがラジエーター側と循環する状態になります。
ヒーター内部のクーラントも交換するために、この作業は必須です。
② ラジエーターキャップを外す
ラジエーターキャップを左に回して外します。
半回転ほどするとバネの力で回しにくくなるため、上から押しながら左へ回すと簡単に外れます。
※エンジンが冷えている状態で作業してください。
③ クーラントを排出する
車体下に大きめのタライを置き、ラジエーター下部のドレンを開きます。
ドレンが固くて回らない場合は、ペンチで軽く挟んで回すと簡単に外れます。
ドレンを外すと、勢いよくクーラントが排出されます。
ペットボトルやバケツでは飛び散るため、タライを使うのがベストです。
④ 水道水でラジエーター洗浄
クーラントが抜けたらドレンを閉め、水道水でラジエーターを洗浄します。
今回の作業では、約2.2リットルのクーラントが排出されました。
水の重量は1リットルで約1.0kg
エンジン側にはサーモスタットによりクーラントが残るため、水道水による洗浄を行うことで内部をできるだけ綺麗にします。
⑤ 水道水を注入しエア抜き
クーラント液注入工具を装着し、水道水を約2.2リットル補充します。
1Lのペットボトルに水道水を入れて注入すると作業が楽です。
ファンネルに水を入れたら、ラジエーターのアッパーホースを何度も強くモミモミしてエアを抜きます。
アッパーホースは鷲掴みするくらいの力で揉むと、エア抜きがスムーズです。
この時点で水道水が全量入らなくても問題ありません。余った分はファンネルに残しておきます。
⑥ エンジン始動・暖気
エア抜きがある程度できたらエンジンを始動します。
ウォーターポンプが作動し、クーラントが循環し始めます。
冬場はラジエーターファンが回らないため、
アッパーホースを握って熱いと感じる程度まで暖気します。
暖気中もアッパーホースを揉むことで、残った水道水がエンジン内部へ入っていきます。
暖気後の水温計の表示は、水温計の針が水温表示を少し隠した位置となります。この位置で水温80〜90℃前後となります。
サーモスタット作動:約82℃
ファン作動:約95〜100℃
メーター中央は「正常範囲内」です。
クーラント交換やエア抜き後は、水温計が中央で安定しているかが重要となります。
⑦ 水道水を排出(洗浄の繰り返し)
十分に循環したらドレンを開き、水道水を排出します。
この作業を繰り返し、排出される水の色がほぼ透明になるまで行います。
完璧を目指す必要はありません。
今回は3回ほど洗浄しました。
この工程がクーラント交換で最も時間がかかる部分で、
作業開始から約1.5時間経過していました。
⑧ クーラントを充填する
水道水を完全に排出したら、クーラントを注入します。
クーラントは水より粘度が高いため、一気に入れると跳ねやすくなります。
エア抜きをしながら少しずつ注入するのがコツです。
今回使用したクーラントは希釈済みタイプですが、
エンジン内部には約1,800mlの水道水が残っています。
気になる場合は、
・クーラント原液 2,000ml
・純水 200ml
・エンジン内の水道水 1,800ml
合計4Lになるよう調整すると理想的です。
サービスマニュアルに記載されているクーラント容量4リットルには、リザーバタンクの容量は含まれません。
⑨ 再度エア抜き
クーラント充填後、アッパーホースを揉んで気泡が出なくなったらエンジンを始動します。
定期的にアッパーホースを揉んでエア抜きを行います。暖気後、10分程度が目安です。
何度やっても少量の気泡は出るため、ある程度で切り上げてOKです。
エンジンが温まりラジエーター内部の圧力が上がると、行き場のない空気や膨張したクーラントがリザーバータンクへ押し出されます。
その後エンジンが冷えると、リザーバータンク内のクーラントがラジエーターへ吸い戻されるため、多少ラジエーター内にエアが残っていても、走行や冷却を繰り返すうちに徐々に解消されます。
⑩ 作業完了
アッパーホースが熱くなり、ファンネルから湯気が出てきたらエンジンを停止します。
ラジエーターキャップをしっかり締めて、クーラント交換は完了です。
⑪ リザーバータンクの清掃・交換
最後にリザーバータンク内のクーラントを交換します。
タンク内にコケや汚れがある場合は、キッチンハイターで洗浄すると擦らなくても綺麗になります。
今回は、リザーバタンクへクーラントを500mlほど補充しました。
1週間ほど運転するとリザーバータンクのクーラントが減ってくるので、再度リザーバータンクへクーラントを補充します。今回は、1週間ほどで100mlほど減っていました。
まとめ
JB23型ジムニーのクーラント交換は、時間はかかるものの特別な工具がなくてもDIY可能な整備です。
特に水道水での洗浄と丁寧なエア抜きを行うことで、冷却性能をしっかり回復させることができます。
「最近水温が気になる」「前回いつ交換したか分からない」という方は、ぜひチャレンジしてみてください。
愛車のコンディションを保つうえで、確実に効果を実感できる整備のひとつです。

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